紅茶を入れるための小さな袋、皆さんは何と呼んでいますか?
ティーバッグ?それともティーパック?
どちらの言い方も聞かれることがありますが、一体どちらが正しいのでしょうか。
この記事では、以下について紹介していきます。
- ティーバッグとティーパック、どちらが一般的なのか
- ティーバッグはいつから使われ始めたのか
- イギリスで主流のヒモなしティーバッグの背景は何か
ティーバッグとティーパック、どちらが一般的なの?
ティーバッグが主流の呼び名
「ティーバッグ」は紅茶の小袋を指す一般的な用語で、多くの紅茶のパッケージにも英語で “Tea Bags” と表示されています。
この名前は、紅茶の袋をかばんに見立てて名付けられたと言われています。
「ティーパック」という用語の使用例
「ティーパック」という表記も時折見かけますが、これは特定の状況や商品で使用されることがあります。
たとえば、ひも付きの小袋や、大容量の麦茶用の袋などがこれに該当します。
「パック」という言葉は日本独自の表現で、海外では「Tea Pack」という表記はほとんど使われません。
この表記は日本国内の商品で、特に1リットル以上の大きな袋で見られることが多いです。
また、日本では「だしパック」など出汁を取るために使われる袋にもこの用語が使われます。
混同を避けるためには、「ティーバッグ」という表現を使用するのが無難であり、広く受け入れられています。
ティーバッグが誕生した背景とその進化
ティーバッグの発明は、紅茶の長い歴史と深く結びついています。
17世紀にオランダやポルトガルからイギリスに紅茶が伝わると、最初は上流階級の間で人気を集めました。
その後、18世紀の産業革命を迎えると、労働者階級の間でも紅茶が広まりました。
19世紀には、インドやスリランカで紅茶の栽培が盛んになり、紅茶はさらに日常的な飲み物として定着しました。
伝統的には計量した茶葉をティーポットに入れ、沸騰したお湯を注ぎ、茶こしで濾しながらカップに注いで楽しむスタイルが一般的でした。
しかし、日々の紅茶の消費が増えるにつれ、茶葉の計量や使用後の茶殻の処理が煩わしいと感じられるようになりました。
そんな中、茶葉を布製の袋に入れる「ティーボール」というアイデアが生まれ、これがティーバッグの原型となりました。
初期のティーボールは、料理に使われる香草やスパイスを包む「ブーケガルニ」に似ていましたが、イギリスの伝統的な紅茶の淹れ方が重視されたため、当初は広まりにくかったです。
しかし、20世紀初頭にアメリカで紅茶ブームが起こると、ティーバッグは大量生産され、世界中に普及しました。
イギリスではなく、より合理的なアメリカがティーバッグ普及の先駆者となったのです。
1957年にはアメリカでインスタントティーが発売され、紅茶をより手軽に楽しむことができるようになりました。
アイスティーやレモンティーなど、アメリカ発の紅茶製品も大いに人気を博しています。
これらの進化から、紅茶をもっとカジュアルで簡単に楽しめる飲み物へと変化させたのは、アメリカの大きな貢献と言えるでしょう。
イギリスにおけるティーバッグの普及とその特徴
ティーバッグはアメリカで生まれた便利な発明品で、1950年代以降イギリスでも広く普及しました。
当初はそれほど一般的ではありませんでしたが、今ではほとんどがティーバッグを使っています。
イギリスでは、ティーバッグが紅茶文化の中心となっており、高級ホテルでもポットを開ければシンプルなティーバッグが使われていることが普通です。
このように広く受け入れられているのは、ティーバッグが日常的に紅茶を手軽に楽しむ手段を提供しているためです。
ティーバッグの形状は多様で、イギリスでは特にヒモがないタイプが主流です。
丸型、三角型、四角型など、様々な形がありますが、どのタイプも使いやすさが重視されています。
イギリスの庶民派紅茶:ティーバッグの特性と硬水の効果
イギリスの水道水は硬水です。
硬水で紅茶を淹れると、香りや渋みが抑えられ、一方で味はまろやかでコクが増します。
このような水質のおかげで、ティーバッグをポットやカップに長時間浸しても紅茶が過度に濃くなることや渋くなることが少ないです。
そのため、ティーバッグを取り出さずにそのまま飲む人も多いです。
イギリスではヒモのついていないティーバッグが一般的で、これが問題にならない理由の一つです。
紅茶を取り出す際には、スプーンで簡単にティーバッグをすくい取って捨てるだけです。
このように、地域の水質と紅茶の飲み方が、イギリスの紅茶文化に独自の風味とスタイルをもたらしています。
ティーバッグとティーパック、どちらがよく使われている?【まとめ】
イギリスでは「ティーバッグ」が一般的な呼び名であり、紅茶の小袋をかばんに見立てて名付けられたとされています。
一方で、ティーパックという表記は日本独自のもので、主に特定の商品に使用されています。
ティーバッグは17世紀にイギリスに紹介され、その後の紅茶の普及に大きく貢献しました。
20世紀にはアメリカでティーバッグが大量生産されるようになり、紅茶の便利な楽しみ方が広まりました。
イギリスでは、ヒモなしのティーバッグが主流で、その簡便さが広く受け入れられています。
また、硬水の特性がティーバッグの使用に適しているため、イギリス人の多くがティーバッグを使用して日常的に紅茶を楽しんでいます。