イギリスのティータイム文化:1日7杯の紅茶とその伝統

知識

みなさんは普段、1日にどのくらい紅茶やコーヒーなどの飲み物を楽しんでいますか?

私は毎朝、ミルクたっぷりの紅茶をマグカップで1杯飲むのが日課です。

日によっては3回まで紅茶を楽しむこともあります。

 

ところがイギリスでは、人によっては1日に5回から7回、場合によってはそれ以上紅茶を飲むこともあります。

アフタヌーンティーだけではないのです。

さて、どんな場面でイギリス人は紅茶を楽しんでいるのでしょうか?

彼らの典型的なティータイムを一緒に見ていきましょう。

イギリスの圧倒的な紅茶愛:日本の26倍!

紅茶

イギリスでは約80%の人々が日々紅茶を飲んでおり、一人あたり年間で約2600グラムの紅茶を消費しています。

対照的に、日本の一人あたりの年間消費量は約100グラムです。

これにより、イギリス人の紅茶消費量は日本人の約26倍にもなるのです!

本当に驚きですよね。

 

イギリスでは紅茶が日常生活に深く根ざしており、ティータイムごとに特有の名前がつけられています。

一方、日本ではお茶の文化はありますが、ティータイムに名前が付いていることは一般的ではありません。

「朝茶」「昼茶」「夜茶」などの呼称は日本ではあまり聞かれず、午後のほうじ茶などはまったく異なる概念と言えるでしょう。

アーリーモーニング・ティー(午前6時~7時頃)

この時間帯に楽しむ「ベッドティー」とも称される紅茶は、目覚めと共に飲む一日の最初の一杯です。

伝統的には、夫が妻にベッドで暖かい紅茶をサーブするという、非常に紳士的な習慣です。

 

この慣習は19世紀のヴィクトリア時代の貴族が始めたもので、召使いが女王のベッドサイドに温かい紅茶を持っていく役割を果たしていました。

その時代の文化的背景を振り返ると、その習慣の起源がよく理解できます。

ブレックファスト・ティー(午前8時~9時頃)

この時間帯に楽しむのは、「朝食と共に飲む紅茶」として知られています。

イギリスの朝食は、「ファスト(断食)をブレイク(解く)」という意味からきており、しっかりとした食事が供されます。

この重要な食事には、風味豊かな紅茶が数杯供されることが一般的です。

特に、ミルクを加えた紅茶が好まれます。

 

忙しい朝には、サッと用意できるティーバッグがとても便利です。

特に「イングリッシュブレックファスト」と名付けられたブレンドは、そのバランスの取れた風味で、ストレートでもミルク入りでも楽しむことができます。

イレブンジス・ティー(午前11時頃)

午前中の仕事、家事、勉強の間に設けられる「リフレッシュの一杯」として親しまれています。

このティータイムは、もともとメイドたちが労働中に短い休憩をとるために楽しんだもので、彼女たちは甘いミルクティーと一緒に好きなビスケットを味わいながら、15分間の短い休息で気分を新たにしていました。

工場労働者も同様に、11時になると作業を一時停止してティーブレイクを取ることが一般的でした。

かつては専門の「ティーレディ」がお茶を淹れる役割を果たしていましたが、この慣習は現代では減少傾向にあります。

ランチ・ティー(午後1時~2時)

このティータイムは、昼食とともに楽しむ紅茶を指し、イギリスではサンドイッチや軽食と合わせて紅茶を飲むのが一般的です。

日本でも昼食時にコーヒーや紅茶を添えることがありますが、イギリスではこの習慣が特に定着しており、食事をさらに楽しむためのものとされています。

アフタヌーン・ティー(午後3時~4時頃)

午後の早い時間帯、特に3時から4時にかけて行われる「エレガントなティータイム」は、19世紀半ばにベッドフォード公爵夫人アンナ・マリアが、朝食と夕食の間に紅茶と軽食を楽しんだことが始まりです。

アフタヌーン・ティーでは、スコーン、サンドイッチ、ケーキと共に、客室や庭園で紅茶を優雅に味わいます。

この時間は社交の場としても大切にされ、服装やマナーにも気を配ります。

 

この美しい習慣は今も多くの高級ホテルやお洒落なカフェで楽しむことができ、アンナ・マリアの影響で紅茶文化が一層豊かになりました。

現代では、特別な来客がある時や親しい友人との集いに最適な時間とされていますが、日常的にこのような豪華なティータイムを過ごす人はそう多くありません。

ミッドデイ・ティー(午後3時~4時頃)

午後3時から4時にかけての「ミッドデイ・ティー」は、日常的なリラックスタイムとして、クッキーやショートブレッドと共にミルクティーを楽しむものです。

アフタヌーン・ティーがフォーマルな社交の場であるのに対し、ミッドデイ・ティーはもっと気軽な雰囲気で行われます。

このため、その日の気分や状況に応じて、アフタヌーン・ティーとミッドデイ・ティーのどちらかを選ぶことが一般的です。

ハイ・ティー(午後6時~7時頃)

ハイ・ティーは、特にスコットランドやアイルランドの地方で労働者階級によって発展した伝統的な習慣です。

労働の一日が終わると、家族が夕食を兼ねて紅茶を楽しむ時間として、午後6時から7時の間に設定されています。

このティータイムは、通常のローテーブルではなく、食卓で行われるため「ハイ・ティー」と称されています。

アフターディナー・ティー(午後8時頃)

夕食後のリラックスタイムに楽しまれる「アフターディナー・ティー」は、甘いチョコレートやデザートなどと一緒に飲まれます。

ナイトキャップ・ティー(就寝前の午後9時頃)

就寝前に飲む「ナイトキャップ・ティー」は、

甘いフレーバーティーやハーブティーなどの選択肢が好まれます。

この静かな時間は、一日の終わりを優雅に締めくくるための最適な方法とされています。

イギリスのティータイム文化:1日7杯の紅茶とその伝統【まとめ】

ティータイム

イギリス人の一日は、朝目覚めから夜の就寝まで紅茶とともにあります。

紅茶を何度も淹れるために毎回新しい茶葉をポットに入れるのは手間がかかるので、ティーバッグが広く使われています。

紅茶は食事中だけでなく、休憩時にも家族や友人との会話を楽しむ際に重宝されています。

イギリス人はこのように紅茶を通じて社交活動を行い、日々の生活をより豊かにしています。

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